テイエムオペラオーがたいしたことないなんてことはなかったが、種牡馬としてはまた別の話⑥

あとちょっと続きます。


さて、引退したオペラオーたちですが、当然その後は種牡馬になってその子供たちに期待がかかるわけです。
とはいえ、オペラオーは最初に解説した通り、日本では流行らない欧州血統のサドラーズウェルズ系。おまけに晩成の長距離血統、これも人気がありません
ファン目線でも種牡馬としてはかなり厳しいか、それでも父オペラハウスのように一発ホームランがあるかもしれない…と期待はしていました。


最初に産駒がデビューしたのは先に引退していたアドマイヤベガです。
こちらは超良血ですから、2002年に亡くなったサンデーサイレンスの後継として大きく期待された1頭でした。
このころのサンデーサイレンスの後継争いは、すでに種牡馬として成功しているフジキセキダンスインザダークらに、新たにスペシャルウィークアドマイヤベガ、さらにステイゴールドアグネスタキオンらが加わるといった情勢でした。

初年度産駒は2004年にデビュー。
順調に勝ち上がりを見せ、ストーミーカフェ札幌2歳S(G3)を勝って産駒の重賞初制覇を飾ります。
しかしその直後に胃破裂のため死亡、わずか4世代の産駒しか残せずこの世を去ってしまいました。
その後、アドマイヤベガ産駒は2世代目でG1馬を2頭出し、2007年にはリーディングサイアーランキング10位に入るなど結果を残しており、惜しまれる早世となりました。
G1を勝った2頭がともに牝馬だったこともあり、後継は残せず父系は1代限りで途絶えています。
長生きしていたらどうなったか、本当に残念でしたね。

www.youtube.com
www.youtube.com


現在のサンデーサイレンス系はご存知ディープインパクトが覇権を握っており、すでにその後継争いが始まっています。
ディープ以外の系統がどこまで生き残れるかも見どころです。
スペシャルウィークマンハッタンカフェアグネスタキオンウマ娘組はかなり厳しい情勢になっていますね。

(参考)2020年のヘイルトゥリーズン系のシェア
f:id:darakou:20210726205525p:plain


続いて、オペラオーとドトウの初年度産駒は2005年デビューですが、
その前に初年度産駒が2006年のデビューであったナリタトップロードを先に見ておきます。
というのも、ナリタトップロードも産駒デビュー前の2005年に亡くなってしまったからです。
菊花賞を制したのと同じ日付の11月7日、わずか3世代の産駒しか残せずに心不全で死亡。
内国産種牡馬サッカーボーイの後継として期待されただけに、こちらも惜しまれる早世でした。

www.nicovideo.jp

わずかな産駒からベッラレイアフローラS(G2)を勝っており、これが唯一の産駒の重賞制覇となっています。
後継種牡馬も残せなかったため、*ディクタスからサッカーボーイへと繋がっていた日本国内のファイントップ系は現在では滅亡しています。
ファイントップ系自体も日本国内だけの流行だったため、世界で見てもすでにぼぼ父系は残っていないと思われます。

ちなみに現在の主流血統であるエクリプス系の中でもファラリス系に属さない系統は軒並み衰退傾向にあり、
エクリプス系の分岐点の一つ、ホエールボーンからタッチストンへとつながる系統も全体的に苦しい状況にあります。

f:id:darakou:20210726205809p:plain
これは第1回の時に出した2020年種付け頭数割合の表に、
2020年時点ですでに日本国内に種牡馬が存在しなくなっているウマ娘に登場する馬の系統を加えてみたものです。
4大主流血統以外はほぼ衰退していますね。



と、いうことでいよいよオペラオーとドトウですが、
早世した2頭に比べて競走実績面では上回っているものの血統的にはやや厳しい…という評価をせざるを得ないところからはじまり。
種牡馬としての期待度が分かる初年度の種付け頭数では2頭ともに100頭に届かない数字でした。
一方、種牡馬としては同期にあたるアグネスタキオンは199頭、クロフネは151頭ですから大きな差があります。

実際に産駒がデビューした2005年の新種牡馬リーディングでも1位アグネスタキオン、2位クロフネから大きく離され、
メイショウオウドウすら下回る14位にオペラオー、17位にメイショウドトウという結果になってしまいます。
(※メイショウオウドウサンデーサイレンス産駒なので血統的には悪くない)

この初年度産駒の活躍で翌年以降の種付け数が決まってしまうため、
メイショウドトウはあっという間に種付け数が1桁まで落ち10年間の供用で血統登録頭数は270頭。
重賞勝利数は0、最高順位も76位と全く実績を残せない失敗に終わりました。


一方のテイエムオペラオーはオーナーの所有牧場であるテイエム牧場で、死亡した2018年まで粘り強く(?)交配され続けていました。
2冠牝馬テイエムオーシャンにも交配され話題にもなっていましたが、走らず。
産駒の勝ち上がり率も悪く、種牡馬としては失敗という評価になっています。
とはいえ、古馬になってから成績が上向く産駒もおり、父のオペラハウス同様、障害レースで結果を残す馬も出ていました。
障害重賞を3勝したテイエムトッパズレ、同じく障害重賞を勝ったテイエムエース、この4勝がオペラオー産駒の全重賞勝利となっています。
テイエム牧場は九州にも生産拠点を構えているため、九州産馬限定競走でオペラオー産駒が目立っているみたいな状況も見られましたね。

www.youtube.com
www.youtube.com
オペラオー産駒で東京ハイジャンプ(JG2)を連覇してたりします。


オペラオーの1頭のみの最終世代は今年2021年にデビューとなります。
テイエムヒッサーロという名前で登録され7月の新馬戦に出走しましたが、9着。なかなか厳しそうです。
最後の期待馬だったテイエムサツマドン(母父アドマイヤベガが早々にリタイアしてしまったため、もはや命運尽きたという感があります。
あとは竹園オーナーに血統を残す気があるかどうかだけというところではありますが…

母父としても実績はあがっていませんが、今月のプロキオンSトップウイナーが14番人気から2着に入って波乱の立役者となりました。
鞍上は和田竜二騎手。父、母父含めた平地重賞初制覇に手が届く日が来るでしょうか。(厳しそうだけどなあ…)


とにかく、種牡馬は交配される繁殖牝馬の質も非常に重要な要素なのでテイエム牧場ばかりではほぼ希望がない状態だったと思います。
最初のうちは毎年産駒の活躍を追っていたんですが、いつしかろくにチェックもしなくなり。
日本で活躍させるのを諦めて欧州に出したほうがいいんじゃないのかなんていう幻想を抱くに至りましたね。
オペラオーの評価の低さは種牡馬成績の悪さも原因の一つになっていると思われ、
オグリキャップのように内国産種牡馬が走らなかった時代であればまだしも、
サンデーやミスプロ内国産種牡馬が活躍し始めた時代においては産駒が走らないとやはり印象が悪いです。
要するに実力が大したことなかったみたいなことになりがちです。
ただまあ、種牡馬成績は種牡馬成績ですから…それはそれということで。