テイエムオペラオーは本当に大したことなかったのか?やはりそんなことはなかった④

20世紀最後の年に大記録を打ち立てたテイエムオペラオー
今回は21世紀最初の年のテイエムオペラオーを見ていきます。

ちなみにこの年から競走馬の年齢表記が国際基準にあわせて数え年から満年齢に変更されました。
つまり、これまでは生まれた時点で1歳、クラシックは4歳でしたが、
この年から生まれた時点では0歳、クラシックは3歳になりました。
これによってオペラオーは2度目の5歳シーズンとなりました。

21世紀の始動戦

引き続き現役を続行したテイエムオペラオーメイショウドトウナリタトップロードのうち、最初に始動したのはナリタトップロードでした。

ナリタトップロードは暮れの有馬記念で的場騎手に乗り替わって9着惨敗。
この馬、中山競馬場が苦手だったんですね。
力を発揮できる条件が限られているのもなかなか勝ちきれない理由の一つでした。

ナリタトップロードは去年と同じ京都記念(G2)から始動。
前年と違ってテイエムオペラオーが出走してきていないため1番人気でしたが、
11番人気マックロウの大掛けに屈して3着に敗れます。
ちなみにマックロウはアドマイヤベガの母であるベガの弟にあたります。

オペラオーがいなくても勝てないトップロード。
的場騎手が引退したことで次走阪神大賞典(G2)の鞍上は渡辺騎手に戻ってきました。
オペラオーのライバルとして、もうこれ以上は負けられないレースになります。

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前を行く2頭を直線入り口でとらえ、そこからさらに加速して後続をぶっちぎる!
8馬身差をつける世界レコードタイムでの圧勝劇。
ついにオペラオーを倒す準備が整ったかと思わせる勝利でした。


メイショウドトウはその翌週の日経賞(G2)での始動となりました。
この年も天皇賞外国産馬出走枠は2枠しかありません。
勝つ必要のあるレースとなりましたが、単勝1.1倍の支持に応えての貫禄勝ちでした。


さて、テイエムオペラオーはというと、鞍上和田竜二騎手がこの年に入って骨折。
始動戦は3頭の中で一番遅れた産経大阪杯(G2)となりました。
調整不足も囁かれていましたが、それでも単勝オッズは1.3倍。

テイエムオペラオーは大外14番枠。
その内にいるのが13番、アドマイヤボス後藤浩輝。スタート直後の動きに注目。

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スタート直後、1頭内にいるアドマイヤボスが外に振ってきていきなり寄ってこられるオペラオー。
その後も終始アドマイヤボスにマークされますが、
最終コーナーで手応えの怪しいオペラオーは直線に入ってもなかなか抜け出せず、
大外から追い込んできた9番人気トーホウドリームの大金星という結末。
オペラオーはエアシャカールアドマイヤボスにも敗れ、4着に終わりました。

第123回天皇賞

2001年4月29日京都芝3200m雨 良

この年の初戦で精彩を欠いたオペラオー、距離不安のあるメイショウドトウに対し、
3000メートルの前哨戦をレコード勝ちしたトップロードに大きな期待が集まる春の天皇賞
オペラオーも1番人気ながらさすがに人気を下げ、単勝オッズは2.0倍となっていました。

1枠1番テイエムオペラオー
5枠5番メイショウドトウ
8枠12番ナリタトップロード

長期故障明けのセイウンスカイタガジョーノーブルが大逃げをする縦長の展開。
3頭はいずれも中団からレースを進める形になりました。

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積極策を仕掛けるナリタトップロードが最初に動いて先頭に並びかけますが、
残り200メートルでエンジンのかかったテイエムオペラオーが一気に抜け出して1着、
最後にメイショウドトウがやってきて2着に上がりました。
これでオペラオーは史上初の天皇賞3連覇、当時のJRAG1最多勝記録に並ぶ7勝目となりました。

ナリタトップロードは2年連続の3着。良馬場でしたが、雨が降っていたのが痛かったですね。

第42回宝塚記念

2001年6月24日阪神芝2200m 晴 良

前年の宝塚記念から始まったテイエムオペラオーメイショウドトウのワンツー。
この年の宝塚記念で6度目の対決となりました。

3枠3番メイショウドトウ(2人気)
4枠4番テイエムオペラオー(1人気)

先行から早めに動いて勝負をかけるメイショウドトウに対し、
オペラオーは中団でまたも馬群に包まれてしまいます。
安藤や岡部、後藤に包囲されまたも動けないオペラオー
オペラオーは結局外に持ち出しますが、積極策に出たドトウはその時すでに先頭に立っていました。

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猛然と追い込んでくるオペラオーでしたが、さすがに届かず2着。
ついにメイショウドトウがG1初制覇を成し遂げました。

メイショウドトウの悲願達成というレースですが、
ここでもオペラオーは厳しいマークを受けており、
あの位置からではどうやっても届かないという感じでしたね。

とはいえ、オペラオーのこの春のレースはどれも第3~最終コーナーでの反応が悪く、
そのために進路取りが苦しくなっている印象があります。
結果から見るとやはりもう衰えてきているんだなとは思わせる展開でしたね。
バリバリの欧州血統であるオペラオーには海外遠征の期待もかかっていましたが
結局それもなくなり、オペラオーとドトウは年内で揃って引退することが決まりました。

覇王最後の秋

オペラオー最後の秋の初戦はこの年も京都大賞典です。これで3年連続になりました。
ナリタトップロードも出走しており、小頭数のレースのためこの2頭の一騎打ちムードです。

関西最後のオペラオー対トップロード。
道中はオペラオーの後ろにつけたトップロードですが、
コーナーでまくって得意のロングスパートに持ち込む展開になりました。
並んでコーナーを回るオペラオーとトップロード。

池のスワンも思わず振り返る!
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ステイゴールドナリタトップロードテイエムオペラオーの3頭による叩き合いになりましたが、
ステイゴールドが外に斜行したことで挟まれたナリタトップロードの渡辺騎手が落馬してしまいます。
ステイゴールドがトップでゴールを駆け抜けたもののトップロードの進路を妨害したとして失格に。
テイエムオペラオーが繰り上がりで1着となりました。
ちなみにこの時ステイゴールドに騎乗していたのも後藤騎手

渡辺騎手が派手に落馬して動かなかったので心配されましたが、無事でした。
しかしナリタトップロード接触で軽い負傷をしており、続く天皇賞は回避することに。
つくづく運のない馬です。


メイショウドトウ宝塚記念から天皇賞へ直行です。
外国産馬の出走枠のもう1つは強い世代と言われる3歳世代の一角、クロフネになるはずでしたが、
ダートで賞金を積んだアグネスデジタルが出走を表明したためクロフネが除外されてしまいます。
クロフネとオペラオーの対決を楽しみにしていたファンからは余計なことをするなと叩かれたものでした。
ここまでアグネスデジタルに芝2000での実績はありませんでしたからね。

第124回天皇賞

2001年10月28日芝2000m 雨 重

オペラオーとドトウ、7度目の対決で、
人気はやはりこの2頭と京都大賞典でオペラオーに先着したステイゴールドです。
天皇賞4連覇か、外国産馬天皇賞制覇か、ステイゴールドもG1初勝利を狙います。

2枠2番メイショウドトウ(2人気)
5枠6番テイエムオペラオー(1人気)
7枠10番アグネスデジタル(4人気)

サイレントハンターが出遅れ、好スタートを切ったメイショウドトウが逃げる形になりました。
オペラオーはそのすぐ後ろで馬群が一団となった競馬となりました。

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直線に入り、前にいるメイショウドトウをいつも通りとらえ…
たところまでは良かったですが、大外から飛んできたアグネスデジタルに1馬身差かわされて2着。
オペラオーと競り合わないこと、雨が降っていて外の方が伸びるだろうと読んでの大外爆走での見事な勝利でした。
ここでついにオペラオーとドトウの古馬中長距離GI連続連対もストップ。

春のレースで抜け出すのに手間取ったオペラオー、今回は前目から早めに抜け出したわけですが、
結果的には1頭だけになって外から差されてしまいましたね。
相手が抜群の騎乗をしすぎました。

第21回ジャパンカップ

2001年11月25日芝2400m晴 良

続くジャパンカップではアグネスタキオンらと同世代の3歳ダービー馬、ジャングルポケットが出走してきていました。
そのジャングルポケットが2番人気で、次いでメイショウドトウステイゴールドナリタトップロードという順番の人気でした。
人気は全て日本馬。

1枠1番メイショウドトウ
3枠4番テイエムオペラオー
4枠6番ジャングルポケット

オペラオーは先団、ジャングルポケットナリタトップロードは後方からという形になりました。

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今回も残り200m付近で一気に抜け出すオペラオーですが、
後ろからジャングルポケットも迫ってきます。ジャングルポケットがクビ差とらえて優勝となりました。
オペラオーはまたも後方から差されて2着。
3着ナリタトップロードには3馬身半差をつけてやはり強いことは示しましたが、
東京競馬場に強いトニービン産駒、ジャングルポケットの府中適正が高すぎましたね。
メイショウドトウは5着に敗れ、オペラオーと並んでの入着もストップとなります。

第46回有馬記念

2001年12月23日中山芝2500m 晴 良

オペラオーとメイショウドトウの引退レース。
2連敗していますが最後はやってくれるだろうという期待も高く、単勝1.8倍の1番人気でした。
2番人気にはメイショウドトウ、3番人気はその年の菊花賞馬、マンハッタンカフェとなっていました。
中山苦手のナリタトップロードも最後の挑戦をかけて出走していました。

4枠4番マンハッタンカフェ
8枠12番テイエムオペラオー
8枠13番メイショウドトウ

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最後のレースで同枠に入ったオペラオーとドトウ。
ともに中団からレースを進めましたが、もはや余力なく追走に精一杯、
最後は伸びてきますが勝ったマンハッタンカフェに届かない5着、世代交代を印象付けて引退となりました。
メイショウドトウは4着で辛うじてオペラオーに先着。(トップロードは10着)

翌年、テイエムオペラオーメイショウドトウの合同引退式が行われ
揃ってターフを去り種牡馬となって産駒に夢を託す形になりました。


最後の秋は年下の世代に3連敗して終わってしまいましたが、
次の世代の挑戦を逃げずに受け続けたレースぶりはまさにチャンピオンとしての振る舞いでした。
それぞれ最高のレースをした次の世代の馬に3度敗れたわけですが、
キャリア通して2度先着を許した馬はメイショウドトウナリタトップロードの2頭のみであり、
引退まで掲示板を外さなかった安定したレースぶりはやはりこの馬の強さの証だったと思います。

(デジタル、ジャンポケ、マンカフェと秋3連戦していたら誰とでも2勝1敗になってたはずだ!
というのは当時の私の妄想ですがw)

さて、ここまででテイエムオペラオーのレースでの戦いは終わったわけですが、
美しく世代交代されるまでが王者の振る舞いなんてのは去っていく馬だけの理屈です。
オペラオーのライバルという座を完全に奪われたもう1頭は翌年も現役を続けることになります。
次はそこから。