MX圏内の人間がいまさら独占配信を叩いているが5年は遅い~なろうのタイトルではありません~

これは自分の体感ですが、首都圏住みの視界内に入るツイッターユーザーによるFOD独占配信批判が増えたの、推し武道(20年1月~)あたりからというイメージがかなり強いですね。

ただ、FOD独占配信が始まったのが推し武道からのわけがないのです。
例えば「つくもがみ貸します」(18年7月~)これもFOD独占配信でした。
(※ただしこの作品の放送局はNHKなので元々全国放送されてはいますが。)

試しに首都圏在住でFOD独占への批判が強めのフォロイーのツイートを掘ってみたところ、最古の批判ツイートは19年11月でした。
他のフォロイーのFOD独占への言及が見られたのは「消滅都市」(19年4月~)、「かつて神だった獣たちへ」(19年7月~)ぐらいでしょうか。
まあとにかく明らかに増えているのは推し武道以降ですね。


要するに、自分がどうでもいいと思ってる作品がFOD独占配信されているうちは見向きもしていなかったくせに、
自分が見たいと思っている作品がFOD独占配信されるとなった途端に批判を始めた
ということになりますね。



さらに言えば、独占配信を行っているのがFODだけのわけがないのです。
所謂ネトフリアニメみたいなものは別としても、例えば前期では「オッドタクシー」がAmazonプライムビデオ独占配信でした。
しかしAmazonプライムビデオ独占配信批判はほとんど見当たりません。
AmazonプライムもFODも有料VODであり、契約が必要であることに何も違いがないのにです。
FOD以外のサイトで言うと、「うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。」(19年7月~)のU-NEXT独占配信に関する話題も見かけた気がします。


要するに、自分が契約しているサービスで独占配信が行われているうちは見向きもしていなかったくせに、
自分が契約したくないサービスで独占配信されるとなった途端に批判を始めた
ということになりますね。




そもそも、その期に放送されている深夜枠のアニメが独占配信されることが目立ってきたのは
ノイタミナAmazonプライム独占配信ぐらいからだと思ってます。
それより前になるとそもそもVOD自体がそこまで充実しておらず、
ニコニコで配信されていなければ視聴手段が存在しない作品も多数ありましたからね。
(例えばdアニメストアのキャリアフリー化は14年であるのに対し、
ニコニコアニメチャンネルの開設は08年であり、無料配信であるため数多くの地方民を救済してきたサービスと言えます。)

さて、話をノイタミナAmazonプライム独占配信に戻しますが、
まず前提としてフジテレビの深夜アニメ放送枠であるノイタミナ、一部作品を除いてBSでの全国放送が存在しないんですよ。
13年にBSフジでの放送枠が打ち切られ、フジテレビ系列局で地上波放送されるようになったわけですが、系列局全局ネットをしているわけではありません。
つまり地域によってはテレビ視聴することができず、配信に頼るしかないわけです。

この状態から始まったのが16年4月からの放送である甲鉄城のカバネリでのAmazonプライム独占配信なのです。このAmazonプライム独占配信は意欲的な取り組みとして結構大々的に宣伝されていたのを覚えています。
しかしノイタミナネット局外に住んでいる自分としては、めちゃくちゃ迷惑だな!としか思っていませんでした。
(ひ〇〇〇か、A〇〇〇〇〇〇を使うしかありませんね)

当時のツイート


MX民は最近まで気づいていなかったようですが、
作品はいろんなVODサイトで配信されている方がユーザーにとっては圧倒的に便利なんですよ。

カバネリと同じ期から始まった「クロムクロ」でもNetflix独占配信が大きく宣伝されており、
うわあ、嫌な流れだなあ、と思ったものでした。これが16年春の話です。今は?21年夏ですね?
首都圏に住んでいる人間はそもそもテレビ放送で見るわけなので関係なかったわけです。
ところが、VODの充実に伴って首都圏住みであっても配信で見るのが広く普及してきました。


要するに、自分が配信でアニメを見ていなかったうちは見向きもしていなかったくせに、
自分が配信でアニメを見るようになった途端に批判を始めた
ということになりますね。


しかし世の中そんな都合よく行くわけもなく。

2017年のツイート


かなりの危機感があるのが分かりますね。


そしてこれが大事なことなのですが、
視聴者にとってはめちゃくちゃ不利益しかない独占配信も、配信サイト側にとっては視聴者を誘引するメリットがあります。

Amazonプライムで独占配信して作品を囲い込むことが許されているのに、ウチのサイトで独占配信をしてはいけない理由はない。」

これが普通の考え方ですよ。

Amazonプライムは契約者が多いからいいけどFODは契約者少ないからダメなんてのは視聴者側だけの理屈で、
契約者数少ないならなおさら独占配信で契約者数増やしたいと考えるのが当然でしょう。
FOD独占配信をやめさせたいのならば、そもそもAmazonプライム独占配信にストップをかけなければならないのです。

つまりこれです



まとめると、
首都圏の人間が「配信でアニメ見るなんて田舎者だけのものでしょ」と言っている間に独占配信の仕組はできてしまっていて、
手遅れになってから「FOD独占配信は悪!」とか言いだしたってことですよ。
それでもまだFOD独占配信はダメでAmazonプライム独占配信はOKみたいなスタンスなんでしょ?救えねえな。

周囲が持ち上げてる作品を批判するべきでないという良識派の大正論

ジャンプ+で公開された某漫画が大好評になっておりますね。
まあそれは別に構わないんですけども、ここまで一つの作品が絶賛されているとどうしても「なんか気持ち悪いな…」という感情を持ってしまうのも人間であります。

今回も「すごく持ち上げられているからあまり見る気がしない」みたいな感じのツイートを発見しましたし、そこから発展して「すごく持ち上げられているものがハマらなかった時」という論点も発生していますね。


もちろん冷静に考えれば持ち上げられているから見ないというのはあまり正当性がないですし、
どちらかというと損することの方が多そうに感じます。
それに、自分が作品を見るより先に絶賛されている光景を見ることになるのは自分が作品に到達するのが遅いからなのですね。
つまり自分の責任ですし、それで損しているのも自分だけ。

とはいえ、すでにそのような状態になってしまっている時点においては「見ない」という選択肢をとるのはある意味防衛策とも考えられます。
すでにバイアスがかかってしまっている状態で絶賛されている作品を見ると、やはりマイナス評価したくなってしまいますからね。
そうして「すごく持ち上げられているものがハマらなかった時」に陥ってしまうリスクがあるわけです。だから見ない…という、これも一つ合理的な判断ではあるんじゃないでしょうか?


しかし、ですよ。その合理的判断が「すごく持ち上げられているものがハマらなかった時」を避けるために生まれているのなら、
「すごく持ち上げられているものがハマらなかった時」を避けなければいけない圧力とは何なのか?ということになりますよね。
と、いうわけで表題の話をしましょう。


意見1(フォロワー1.6万氏)
周囲がすごいと言うから見たけど面白くなかった物を、本当は面白くなかったけど周囲に合わせておこうってのはしない
(イマイチならイマイチと言う)

こういう態度は割と評価されているネット論者にありがちだと思いますね。
そのようなネット論者はすでに本人がコンテンツみたいなものなので、
その本人から出てくる否定の言葉は支持者には「独自性」として評価されるものです。
評価されるんだから、言うよね、そりゃあ。これを一般ユーザーに適用するのは適切ではないと考えられます。


意見2
周囲が持ち上げているがハマらなかった作品について、
その作品を好きなフォロワーの気分を害してまで貶す価値がないので見なかったことにする。

これは、割と理解できる気がしますね。
わざわざフォロワーを不愉快にする必要はない、確かにその通りでしょう。
でもちょっと待ってよ。
それって、「周囲が持ち上げているがハマらなかった作品」に限って適用されるものでしょうか?
フォロワーもイマイチな反応をしていたら、貶しに行くってことですか?

何かがひっかかる…


意見3(1000リツイート以上、同人作家氏)
あれ良かったよねと皆が話してるところで否定の言葉をわざわざ表明するのは人間性に問題がある。

確かに、面と向かって会話しているときにわざわざ言うのはコミュニケーションとしてどうなんだというのは理解できます。
ファンサイトに突撃してアンチ行為をするようなのもおかしいというのも理解できます。

しかし…ですよ。

「皆が話してるところ」とはどこのことなのか?
今、「あれ良かったよねと皆が話してるところ」というのはツイッターじゃないでしょうか?
そして、否定の言葉を表明してもいいかという議論になっているのもツイッターにほかなりません。
このタイミングで面と向かって会話している場面を想定しているものであるとは考えられない、
つまり「皆が話してるところ」とはツイッターのことと考えるのが自然でしょう。

さっきの「2」と根本的には同じ内容ですね。
人の気分を害するな、ということのようです。

やはりひっかかる…



どうしてひっかかっているんでしょうか。

「私が好きなアニメのこと、平気で叩く人ばっかりなんですけど?」

これですね。だから違和感があるのです。
この感情を、もう少し分解してみると、こうです。

「批判は気分が悪いからするな」なのか「多数派の空気を乱すな」なのか
はっきりしない、というかはっきりさせていないのがひっかかる。

この2つは共存できるときもありますが、共存できないときもあります。
批判する側が多数派の場合です。

せっかくなので意見2と意見3がどちらの見解であるのか、考えてみましょう。
本当はツイート主に聞くのが良いのですが、そんなことをしたらもれなくクソリプと言われるのがツイッターです。
なので勝手に決めつけることにしますね。

意見2は、どちらかというと「貶すな」寄りに見えますね。「貶す価値」みたいなところを考えてもそう感じられます。貶して面白かったら嬉々として貶しますと表明していることからも「批判は気分が悪いからするな」であると読めます。
意見3は、「空気を読め」に見えますね。最終的に人格攻撃をしたがっている様子からもそのように感じられます。自分や周囲が批判一色でそれが正しいと信じてる時に、擁護する人が現れたら思考停止の信者だと言いそうな力強さを思わせます。

まあこの分析には特に意味はなかった余談なんですが、
なぜこの意見を扱ったかというと、
「批判は気分が悪いからするな」「多数派の空気を乱すな」これこそが
「すごく持ち上げられているものがハマらなかった時」を避けなければいけない圧力だからですね。

こうやって正論ぶった良識ぶった物言いこそが圧力そのものなのです。
圧力というのは「俺の好きなものの悪口言うな!」とキレてる人がかけているのではないのですよ。
「みんなが好きなものの悪口を言うのはよくないよね」と言いなだめている人がかけているのです。
その圧力に果たして自覚があるんでしょうか?ここが最もひっかかるところですね。


「みんなが褒めているときはなんか圧力を感じてものを言いにくいよね」という話をしているときに、圧力そのものの発言をしているから違和感があるんです。分かってもらえますかね?

テイエムオペラオーがたいしたことないなんてことあるはずがないわけだしナリタトップロードもウマ娘参戦希望です⑤

前の記事でオペラオーは引退しましたが、もうあとちょっと続きます。


テイエムオペラオーが引退した後の2002年。
古馬中長距離路線の主役となるのはオペラオーを破った4歳馬のジャングルポケット、そしてマンハッタンカフェになるでしょう。
しかしこの馬もいます。6歳になったナリタトップロード。ただで若い馬に道を譲るわけにはいきません。

世代の意地

この年もナリタトップロード京都記念から始動します。
しかし60キロという重い負担重量、有馬記念も惨敗していることからここでは3番人気にとどまります。(このころの京都記念は賞金額で負担重量が決まっていたため)
人気は2歳年下で前年のクラシック戦線で活躍したボーンキングやミスキャストでした。
ボーンキングはダービー馬フサイチコンコルドの弟、ミスキャストは名牝ノースフライトの仔といずれも良血。

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ナリタトップロードは2番手からレースを進め、最後は同世代のマチカネキンノホシとの叩きあいを制して久々の勝利。
年下の馬たちを寄せ付けない堂々たる競馬でした。
ちなみにマチカネキンノホシアドマイヤベガメイショウドトウの2着に入ったこともある馬でG2を2勝しています。
主戦騎手が岡部の外国産馬ということもあり、とにかく「大物感」はすごい馬でした。
しかしG1になると力不足という感じがあり、ほとんど掲示板にも載れていませんが実績自体は悪くないものです。


ナリタトップロードはさらに阪神大賞典から天皇賞を目指します。3年連続で同じローテーションとなりました。
ここに出走してきていたのがジャングルポケット。昨年のダービーとジャパンカップを勝っているこの世代の大将格。
前走を勝っており、ここは得意の距離ということで1番人気に支持されたのはナリタトップロードのほうでした。

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ここでも先行策をとったナリタトップロードは追いすがるジャングルポケットを寄せ付けない完勝を飾ります。
阪神大賞典を連覇、重賞2連勝。トップロードが連勝するのは実に3年ぶりということになります。
ようやくこの馬の時代がやってきたのかという走りで堂々と天皇賞へ向かうことになりました。


第125回天皇賞

2002年4月28日京都芝3200m 曇 良

昨年の菊花賞有馬記念を勝ったマンハッタンカフェが年明け初戦の日経賞を6着と惨敗したこともあり、
1番人気に支持されたのはナリタトップロードでした。僅かな差で2番人気となったのがマンハッタンカフェ
ここにジャングルポケットを加えた3強の戦いとなりました。

4枠4番マンハッタンカフェ
5枠5番ナリタトップロード
6枠7番ジャングルポケット

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3頭が睨みあいながらレースを進める形となりましたが、トップロードは先に抜け出したマンハッタンに届かず、
後ろからきたジャングルポケットにもかわされての3着に終わります。
直線競馬になるとやはりキレ負けしてしまう感がありますね。
これで天皇賞春3年連続3着という珍記録を樹立。


宝塚記念はこの年もスキップ。
ジャンポケもマンハッタンもいない宝塚記念を勝ったのは4歳世代のダンツフレームでした。
皐月賞2着、ダービーも2着、直前の安田記念も2着のこの馬にとっては悲願の勝利となりました。
ちなみにこの世代の自分が好きな馬はこのダンツフレームだったんですが、種牡馬にもなれず悲運の最期といろいろ残念でした。

このアグネスタキオン世代も強い世代と言われていますが、
タキオンクロフネは故障で早期離脱、ジャンポケは古馬になってからは1勝もできず引退。
春に古馬G1を勝ったマンカフェも凱旋門賞で故障してこの年1勝で引退。
また、ダンツも宝塚記念の後はわずかにG3を1勝したのみであり中長距離路線での存在感はすぐになくなってしまっています。
世代の強い弱いを言っても仕方ないですが、それが「事実ベース」だと思ってます。


ナリタトップロードは最後の秋も走り続けます。

初戦はこれで3年連続となる京都大賞典へと出走。
渡辺騎手の負傷により鞍上は四位騎手へと乗り替わりになっていましたが、
後のG1馬ツルマルボーイタップダンスシチーを寄せ付けない完勝でした。
オペラオーがいたときには勝てなかった前哨戦はしっかり勝っていけていますね。

今度こそ…と秋の天皇賞へ向かいますが、この年は東京競馬場が改修工事で使えず、
天皇賞秋、ジャパンカップ有馬記念の3戦すべてが苦手の中山競馬場で行われることになっていました。
とにかく運がない…

第126回天皇賞

2002年10月27日中山芝2000m 晴 良

4歳のG1馬テイエムオーシャンダンツフレーム
5歳のG1馬エアシャカールアグネスフライトエイシンプレストンがおり、
ここに6歳の菊花賞ナリタトップロード、3歳のダービー2着馬シンボリクリスエスが揃うレースとなった秋の天皇賞
人気は札幌記念を快勝した2冠牝馬テイエムオーシャンが1番人気で、以下トップロード、クリスエスと続いていました。

1枠1番ナリタトップロード
4枠8番シンボリクリスエス

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先行したテイエムオーシャンが伸びない中、最内から外に持ち出して追い込んでくるナリタトップロード
よく伸びているもののシンボリクリスエスには届かずの2着でした。
しかしそれ以外の年下の馬はねじ伏せており、世代の力を見せたといえるでしょう。


続くジャパンカップも苦手の中山中長距離で、海外馬ワンツーの遥か後方となる10着。
それでもファンはナリタトップロードを推し、有馬記念のファン投票では1位になります。
これまで一度も好走すらしていない有馬記念でしたが、ファンの声にこたえここを引退レースに選びます。

渡辺騎手も怪我から復帰してのラストラン。しかし残酷にもが降り、馬場は稍重でした。
晴れていないと走れない馬であることをもうみんな知っているので、いい加減にしてくれよ!と思ったものでした。

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それでも4番人気だったナリタトップロードは先行して意地を見せ、
勝ち馬からは離されたものの1番人気のファインモーションをかわして過去最高の4着でゴール。
4着なのでさほどよくはないですが、過去の有馬記念での惨敗ぶりを考えると
不利な条件で大健闘と言っていい内容で、ファンも大声援で引退を見送ったのでした。

最後まで王道路線を戦い続けたナリタトップロードもこれで引退。
オペラオーが去った後の1年間、G2を3勝し年下の4歳馬、3歳馬にも本番では勝てないものの互角に迫る戦いぶりをし、
その戦いぶりは同世代のオペラオーやドトウの評価の低さに抵抗し続けたものでもあると勝手に思っていますw

と、いうわけでここまで見てきましたが、オペラオーが勝った年のライバルがだいたいいつも同じだったのは確かですが、
他の世代と比べて相対的に大きく劣るかというとどう見てもそんなことはないというのが分かると思います。
1回だけ物凄い勝ち方をした馬は確かに派手ですが、オペラオー、ドトウ、トップロードと王道路線を戦い抜いた馬もまた評価に値する戦いぶりだったと言えるでしょう。

さて、あとちょっと余談が続きます。

テイエムオペラオーは本当に大したことなかったのか?やはりそんなことはなかった④

20世紀最後の年に大記録を打ち立てたテイエムオペラオー
今回は21世紀最初の年のテイエムオペラオーを見ていきます。

ちなみにこの年から競走馬の年齢表記が国際基準にあわせて数え年から満年齢に変更されました。
つまり、これまでは生まれた時点で1歳、クラシックは4歳でしたが、
この年から生まれた時点では0歳、クラシックは3歳になりました。
これによってオペラオーは2度目の5歳シーズンとなりました。

21世紀の始動戦

引き続き現役を続行したテイエムオペラオーメイショウドトウナリタトップロードのうち、最初に始動したのはナリタトップロードでした。

ナリタトップロードは暮れの有馬記念で的場騎手に乗り替わって9着惨敗。
この馬、中山競馬場が苦手だったんですね。
力を発揮できる条件が限られているのもなかなか勝ちきれない理由の一つでした。

ナリタトップロードは去年と同じ京都記念(G2)から始動。
前年と違ってテイエムオペラオーが出走してきていないため1番人気でしたが、
11番人気マックロウの大掛けに屈して3着に敗れます。
ちなみにマックロウはアドマイヤベガの母であるベガの弟にあたります。

オペラオーがいなくても勝てないトップロード。
的場騎手が引退したことで次走阪神大賞典(G2)の鞍上は渡辺騎手に戻ってきました。
オペラオーのライバルとして、もうこれ以上は負けられないレースになります。

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前を行く2頭を直線入り口でとらえ、そこからさらに加速して後続をぶっちぎる!
8馬身差をつける世界レコードタイムでの圧勝劇。
ついにオペラオーを倒す準備が整ったかと思わせる勝利でした。


メイショウドトウはその翌週の日経賞(G2)での始動となりました。
この年も天皇賞外国産馬出走枠は2枠しかありません。
勝つ必要のあるレースとなりましたが、単勝1.1倍の支持に応えての貫禄勝ちでした。


さて、テイエムオペラオーはというと、鞍上和田竜二騎手がこの年に入って骨折。
始動戦は3頭の中で一番遅れた産経大阪杯(G2)となりました。
調整不足も囁かれていましたが、それでも単勝オッズは1.3倍。

テイエムオペラオーは大外14番枠。
その内にいるのが13番、アドマイヤボス後藤浩輝。スタート直後の動きに注目。

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スタート直後、1頭内にいるアドマイヤボスが外に振ってきていきなり寄ってこられるオペラオー。
その後も終始アドマイヤボスにマークされますが、
最終コーナーで手応えの怪しいオペラオーは直線に入ってもなかなか抜け出せず、
大外から追い込んできた9番人気トーホウドリームの大金星という結末。
オペラオーはエアシャカールアドマイヤボスにも敗れ、4着に終わりました。

第123回天皇賞

2001年4月29日京都芝3200m雨 良

この年の初戦で精彩を欠いたオペラオー、距離不安のあるメイショウドトウに対し、
3000メートルの前哨戦をレコード勝ちしたトップロードに大きな期待が集まる春の天皇賞
オペラオーも1番人気ながらさすがに人気を下げ、単勝オッズは2.0倍となっていました。

1枠1番テイエムオペラオー
5枠5番メイショウドトウ
8枠12番ナリタトップロード

長期故障明けのセイウンスカイタガジョーノーブルが大逃げをする縦長の展開。
3頭はいずれも中団からレースを進める形になりました。

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積極策を仕掛けるナリタトップロードが最初に動いて先頭に並びかけますが、
残り200メートルでエンジンのかかったテイエムオペラオーが一気に抜け出して1着、
最後にメイショウドトウがやってきて2着に上がりました。
これでオペラオーは史上初の天皇賞3連覇、当時のJRAG1最多勝記録に並ぶ7勝目となりました。

ナリタトップロードは2年連続の3着。良馬場でしたが、雨が降っていたのが痛かったですね。

第42回宝塚記念

2001年6月24日阪神芝2200m 晴 良

前年の宝塚記念から始まったテイエムオペラオーメイショウドトウのワンツー。
この年の宝塚記念で6度目の対決となりました。

3枠3番メイショウドトウ(2人気)
4枠4番テイエムオペラオー(1人気)

先行から早めに動いて勝負をかけるメイショウドトウに対し、
オペラオーは中団でまたも馬群に包まれてしまいます。
安藤や岡部、後藤に包囲されまたも動けないオペラオー
オペラオーは結局外に持ち出しますが、積極策に出たドトウはその時すでに先頭に立っていました。

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猛然と追い込んでくるオペラオーでしたが、さすがに届かず2着。
ついにメイショウドトウがG1初制覇を成し遂げました。

メイショウドトウの悲願達成というレースですが、
ここでもオペラオーは厳しいマークを受けており、
あの位置からではどうやっても届かないという感じでしたね。

とはいえ、オペラオーのこの春のレースはどれも第3~最終コーナーでの反応が悪く、
そのために進路取りが苦しくなっている印象があります。
結果から見るとやはりもう衰えてきているんだなとは思わせる展開でしたね。
バリバリの欧州血統であるオペラオーには海外遠征の期待もかかっていましたが
結局それもなくなり、オペラオーとドトウは年内で揃って引退することが決まりました。

覇王最後の秋

オペラオー最後の秋の初戦はこの年も京都大賞典です。これで3年連続になりました。
ナリタトップロードも出走しており、小頭数のレースのためこの2頭の一騎打ちムードです。

関西最後のオペラオー対トップロード。
道中はオペラオーの後ろにつけたトップロードですが、
コーナーでまくって得意のロングスパートに持ち込む展開になりました。
並んでコーナーを回るオペラオーとトップロード。

池のスワンも思わず振り返る!
↑好きなフレーズ

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ステイゴールドナリタトップロードテイエムオペラオーの3頭による叩き合いになりましたが、
ステイゴールドが外に斜行したことで挟まれたナリタトップロードの渡辺騎手が落馬してしまいます。
ステイゴールドがトップでゴールを駆け抜けたもののトップロードの進路を妨害したとして失格に。
テイエムオペラオーが繰り上がりで1着となりました。
ちなみにこの時ステイゴールドに騎乗していたのも後藤騎手

渡辺騎手が派手に落馬して動かなかったので心配されましたが、無事でした。
しかしナリタトップロード接触で軽い負傷をしており、続く天皇賞は回避することに。
つくづく運のない馬です。


メイショウドトウ宝塚記念から天皇賞へ直行です。
外国産馬の出走枠のもう1つは強い世代と言われる3歳世代の一角、クロフネになるはずでしたが、
ダートで賞金を積んだアグネスデジタルが出走を表明したためクロフネが除外されてしまいます。
クロフネとオペラオーの対決を楽しみにしていたファンからは余計なことをするなと叩かれたものでした。
ここまでアグネスデジタルに芝2000での実績はありませんでしたからね。

第124回天皇賞

2001年10月28日芝2000m 雨 重

オペラオーとドトウ、7度目の対決で、
人気はやはりこの2頭と京都大賞典でオペラオーに先着したステイゴールドです。
天皇賞4連覇か、外国産馬天皇賞制覇か、ステイゴールドもG1初勝利を狙います。

2枠2番メイショウドトウ(2人気)
5枠6番テイエムオペラオー(1人気)
7枠10番アグネスデジタル(4人気)

サイレントハンターが出遅れ、好スタートを切ったメイショウドトウが逃げる形になりました。
オペラオーはそのすぐ後ろで馬群が一団となった競馬となりました。

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直線に入り、前にいるメイショウドトウをいつも通りとらえ…
たところまでは良かったですが、大外から飛んできたアグネスデジタルに1馬身差かわされて2着。
オペラオーと競り合わないこと、雨が降っていて外の方が伸びるだろうと読んでの大外爆走での見事な勝利でした。
ここでついにオペラオーとドトウの古馬中長距離GI連続連対もストップ。

春のレースで抜け出すのに手間取ったオペラオー、今回は前目から早めに抜け出したわけですが、
結果的には1頭だけになって外から差されてしまいましたね。
相手が抜群の騎乗をしすぎました。

第21回ジャパンカップ

2001年11月25日芝2400m晴 良

続くジャパンカップではアグネスタキオンらと同世代の3歳ダービー馬、ジャングルポケットが出走してきていました。
そのジャングルポケットが2番人気で、次いでメイショウドトウステイゴールドナリタトップロードという順番の人気でした。
人気は全て日本馬。

1枠1番メイショウドトウ
3枠4番テイエムオペラオー
4枠6番ジャングルポケット

オペラオーは先団、ジャングルポケットナリタトップロードは後方からという形になりました。

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今回も残り200m付近で一気に抜け出すオペラオーですが、
後ろからジャングルポケットも迫ってきます。ジャングルポケットがクビ差とらえて優勝となりました。
オペラオーはまたも後方から差されて2着。
3着ナリタトップロードには3馬身半差をつけてやはり強いことは示しましたが、
東京競馬場に強いトニービン産駒、ジャングルポケットの府中適正が高すぎましたね。
メイショウドトウは5着に敗れ、オペラオーと並んでの入着もストップとなります。

第46回有馬記念

2001年12月23日中山芝2500m 晴 良

オペラオーとメイショウドトウの引退レース。
2連敗していますが最後はやってくれるだろうという期待も高く、単勝1.8倍の1番人気でした。
2番人気にはメイショウドトウ、3番人気はその年の菊花賞馬、マンハッタンカフェとなっていました。
中山苦手のナリタトップロードも最後の挑戦をかけて出走していました。

4枠4番マンハッタンカフェ
8枠12番テイエムオペラオー
8枠13番メイショウドトウ

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最後のレースで同枠に入ったオペラオーとドトウ。
ともに中団からレースを進めましたが、もはや余力なく追走に精一杯、
最後は伸びてきますが勝ったマンハッタンカフェに届かない5着、世代交代を印象付けて引退となりました。
メイショウドトウは4着で辛うじてオペラオーに先着。(トップロードは10着)

翌年、テイエムオペラオーメイショウドトウの合同引退式が行われ
揃ってターフを去り種牡馬となって産駒に夢を託す形になりました。


最後の秋は年下の世代に3連敗して終わってしまいましたが、
次の世代の挑戦を逃げずに受け続けたレースぶりはまさにチャンピオンとしての振る舞いでした。
それぞれ最高のレースをした次の世代の馬に3度敗れたわけですが、
キャリア通して2度先着を許した馬はメイショウドトウナリタトップロードの2頭のみであり、
引退まで掲示板を外さなかった安定したレースぶりはやはりこの馬の強さの証だったと思います。

(デジタル、ジャンポケ、マンカフェと秋3連戦していたら誰とでも2勝1敗になってたはずだ!
というのは当時の私の妄想ですがw)

さて、ここまででテイエムオペラオーのレースでの戦いは終わったわけですが、
美しく世代交代されるまでが王者の振る舞いなんてのは去っていく馬だけの理屈です。
オペラオーのライバルという座を完全に奪われたもう1頭は翌年も現役を続けることになります。
次はそこから。

テイエムオペラオーは本当に大したことなかったのか?いや、さすがにそんなことはない③

東スポさんがnoteでしっかりとした記事を作ってくれてたので、まあ自分はもういいかなという気持ちもありますが、半端すぎますからね。
引き続きテイエムオペラオーのレースぶりを振り返って、大したことないわけがないだろうという検証(?)をしていきたいと思いますw


勝ち切れないレースが続いた4歳秋のテイエムオペラオー
世紀末2000年は「全部勝つ」という決意のもとのスタートとなりました。

伝説の始まり

テイエムオペラオー、そしてナリタトップロードの2000年の初戦は2月の京都記念(G2)となりました。
再び揃って出走することとなったこの2頭。人気も当然この2頭に集まります。

7枠8番テイエムオペラオー
7枠9番ナリタトップロード

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京都記念は0:00~0:30までです。

前年のクラシックホース2頭が同枠で始動となったこのレース。
同じような位置からレースを進めて並んでコーナーを回ってくるまさに2頭の戦いといった感じのレースでした。
一度はナリタトップロードがオペラオーを捉えたかと思わせましたが、そこからオペラオーがもうひと伸び。
クビ差でオペラオーの勝利となりましたが、着差以上の力の差を感じさせるレースでした。


さて、順調に始動したオペラオーとトップロードに対し、アドマイヤベガ繋靭帯炎を発症。
そのまま引退し種牡馬入りとなってしまいました。
世代屈指の末脚を持つこの馬の離脱もオペラオーの評価に影響を与える要因だと思いますが、
充実一途のこの年のオペラオーにどこまで対抗できたかは今となっては分かりません。

代わってナリタトップロードに続くライバル格に浮上してきたのが、菊花賞でも3着に入ったラスカルスズカです。

サイレンススズカの弟 ラスカルスズカ

ラスカルスズカは父コマンダーインチーフ、母ワキアという血統で、サイレンススズカの半弟にあたります。
菊花賞の後はジャパンカップに挑戦して5着と健闘。
鞍上を武豊に戻した2000年初戦の万葉S(OP)は単勝1.1倍の支持を受けての勝利。
オペラオー、トップロードにラスカルスズカを加えたこの3頭が天皇賞へ向けての前哨戦、阪神大賞典(G2)でぶつかることになりました。


この年の阪神大賞典ではこの3頭の人気が他を引き離して飛びぬけており、4番人気メジロロンザン単勝オッズは65.5倍にもなっていました。

1枠1番テイエムオペラオー
3枠3番ラスカルスズカ
5枠5番ナリタトップロード

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阪神大賞典は0:30~1:00までです。

同じような位置からレースを進めた3強ですが、直線に入って残り200メートル付近でテイエムオペラオーが先頭に立ったらあとは離すだけ。2馬身半差をつけての完勝でした。
あっという間に置いていかれたナリタトップロードは内から伸びてきたラスカルスズカもかわせない3着。

これまでは常に同格のライバルと見られていたオペラオーとトップロードですが、
この完勝で2頭の評価は大きく開いていくことになります。

第121回天皇賞

2000年4月30日京都芝3200m 曇 良

2枠2番ラスカルスズカ
5枠5番テイエムオペラオー
8枠11番ナリタトップロード

阪神大賞典から引き続き、人気は3頭。
しかし今回はテイエムオペラオー単勝1倍台の1番人気となり、一枚上という評価をされています。

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こっちの動画だと1:00~1:37まで。


結果もこの3頭が強かったレースでしたが、前を行くナリタトップロードをキッチリとらえ、
後ろから来るラスカルスズカを抑え込むという正攻法でテイエムオペラオーが勝利。
最後は余裕を残しており、ここでも力の差を見せつけていると言っていいでしょう。
皐月賞以来となるGI2勝めとなりました。

テイエムオペラオー宝塚記念を目指し、ナリタトップロードは秋に備えて休養。
ラスカルスズカ金鯱賞(G2)から宝塚記念を目指すことになります。

金鯱賞ラスカルスズカ単勝1.3倍の圧倒的支持を集めましたが、結果は3着。
ここを勝って宝塚記念に名乗りを上げたのがメイショウドトウでした。

オペラオーのライバルといえばこの馬 メイショウドトウ

アイルランド生まれの外国産馬で、父はノーザンダンサー系でラストタイクーン産駒のビッグストーン。
母父はアファームドで、偶然にもナリタトップロードと同じ血が入っている。
外国産馬としては超格安の500万で輸入。
ちなみに「メイショウ」でおなじみ松本オーナーは小牧場の安い馬を多く購入、所有しているタイプの馬主で、小さい牧場を支える馬主として知られている。

メイショウドトウはクラシックにも縁がなく、4歳の秋にようやく準オープンを抜けていました。
しかし2000年に入って頭角を現し、日経新春杯で2着、中京記念で重賞初勝利。
金鯱賞で重賞2勝目を飾り、宝塚記念へと進みました。

また、オペラオーに和田、トップロードに渡辺という若手騎手が主戦を任されていたのと同じく、
メイショウドトウも若手の安田康彦が主戦であり、若手騎手の切磋琢磨が見られた時代でもありました。

第41回宝塚記念

2000年6月25日阪神芝2200m 雨 良

さて、メイショウドトウもいますが、このレースの注目はなんといっても新旧王者対決です。
1番人気は天皇賞勝ちのテイエムオペラオー単勝オッズは1倍台。
続く2番人気はグラスワンダー。前年の覇者でグランプリ連覇をしている馬ですが、この年は2走していいところのない2連敗。
メイショウドトウはまだ離れた6番人気でした。

1枠1番テイエムオペラオー(1人気)
4枠4番メイショウドトウ(6人気)
7枠8番ラスカルスズカ(3人気)
8枠11番グラスワンダー(2人気)

メイショウドトウは逃げるサイレントハンターから離れた2番手。
第3コーナーからオペラオーとグラスワンダーが外をまくりにかかり、ラスカルスズカは内をついて先頭に出ました。

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グラスワンダーが伸びない一方でオペラオーは大外から前のラスカル、ドトウをとらえてクビ差ながら圧勝という内容でした。
メイショウドトウもただでは負けず、ジョービッグバンを差し返して2着。
一方のグラスワンダーは骨折しており、このレースを最後に引退。
テイエムオペラオーはこの春4連勝となり、まさに王者交代といったレースでした。

テイエムオペラオーの並んで抜かせない強さが注目されてきたレースだと思いますね。
あと、メイショウドトウも最後によく伸びるんですよ。テイエムオペラオーに抜かれた後にもう一度食い下がってくるので強いです。

偉業達成の秋へ

この年から天皇賞外国産馬にも開放され、外国産馬の出走枠2枠が設けられていました。
外国産馬であるメイショウドトウオールカマー(G2)から始動し、先行押し切りで文句なしの勝ちっぷり。
ちなみにこの時、安田康彦騎手は道交法違反酒気帯びで逮捕されて騎乗停止になっており、
続く天皇賞まで的場騎手に乗り替わっていました。

オペラオーとトップロードは秋初戦の京都大賞典(G2)でまたもマッチアップ。

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京都大賞典は1:36~

人気通りにオペラオーとトップロードが競り合う展開になりましたが、この展開だとオペラオーは抜かせない。
アタマ差の接戦ながらどうしても届かないナリタトップロード、僅かな差が高すぎる壁となりこれでこの年はオペラオーに4連敗。
テイエムオペラオーは重賞5連勝で天皇賞へ向かいます。

第122回天皇賞

2000年10月29日東京芝2000m 曇 重

秋の古馬中距離GI3連戦の第1戦となる秋の天皇賞
ここでもテイエムオペラオーは当然一番人気になるわけですが、そこにジンクスが立ちはだかります。
この年まで秋の天皇賞は1番人気が12連敗中であり、1番人気が勝てないというジンクスがありました。
オグリキャップメジロマックイーントウカイテイオービワハヤヒデナリタブライアンサイレンススズカなど、数多くの名馬が敗れ去った秋の天皇賞
それ以前にもシンボリルドルフなど多くの人気馬が敗れており、このころはまだ何が起こるかわからないという印象のあるレースでした。
しかもこの時、和田騎手は東京競馬場で未勝利という状態だったのです。そんなわけでオペラオーにも疑いの余地ありということで単勝2倍台のオッズになっていました。

2枠3番ナリタトップロード(3人気)
7枠13番テイエムオペラオー(1人気)
8枠15番メイショウドトウ(2人気)

逃げる2頭が後続を引き離す中、外枠から先行策をとったオペラオーとメイショウドトウ
ナリタトップロードは中団です。

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直線を向くと、テイエムオペラオーは前に出ているメイショウドトウを残り200メートルでとらえ、
あとは問題なく差が開いていくだけ。ジンクスなど関係ない、全く危なげのない勝利となりました。
2着はメイショウドトウ、懸命にオペラオーを追ったナリタトップロードですが、伸びきれず5着。
ナリタトップロードは良馬場でなければ力が発揮できないタイプの馬で、雨が降りやすい宝塚記念などは毎年回避していたんですね。

テイエムオペラオーはこれで史上初となるJRA主要4場GI制覇を達成しました。(東京・中山・京都・阪神
この記録を達成しているのは現在においてもジェンティルドンナキタサンブラックオルフェーヴルしかいない大記録です。
(※ディープインパクト宝塚記念京都競馬場開催)
それだけ、戦場を選ばずに勝つということは難しいんですね。どうしても得意条件というものがありますから。

こうして、テイエムオペラオーは6連勝でGI4勝目を飾り、歴史的名馬の域へと足を踏み入れたのです。

第20回ジャパンカップ

2000年11月26日芝2400m 晴 良

ついに強さを認められたテイエムオペラオーはこのジャパンカップ単勝1.5倍という圧倒的支持を集めました。
2番人気の海外馬ファンタスティックライトは8.9倍です。
安田康彦の騎乗停止が明けたメイショウドトウですが、すでにオペラオーに2連敗していますからここでは5番人気まで下げ、
代って3番人気、4番人気に支持されたのがその年のクラシックホース、エアシャカールアグネスフライトでした。

参考:2000年日本ダービー
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何と言われようが名勝負ですよね~。


一方のナリタトップロードはオペラオーに負け続けていたため1年間未勝利で、除外され出走することもできませんでした。
過去に強かっただけで最近振るわない馬を除外する「過去1年間」の規定ですが、菊花賞はギリギリ1年以上前。
この年の4歳GI馬が4頭も出走してきていたのが痛かったですね。晴れの良馬場という力の発揮できる舞台だっただけに。

4枠8番テイエムオペラオー(1人気)
5枠10番ファンタスティックライト(2人気)
7枠13番メイショウドトウ(5人気)

レースはステイゴールドがまさかの逃げをうつものの、メイショウドトウは先行しオペラオーがその後ろぐらいといういつもの態勢。
クラシックホースのエアシャカールアグネスフライトは共に後方から追い込むタイプなのでどちらも後方から。

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最終コーナーで一気に前に押し寄せる4歳勢に対し、オペラオーは動かず直線に入ってからの追い出し。
メイショウドトウに並びかけ、そこからメイショウドトウも伸びて食い下がってくるものの
追い込んできたファンタスティックライトとともにクビ差で退けてこれでついに重賞7連勝のJRA新記録。
メイショウドトウはまたも2着。4歳勢は下位独占の惨敗となり、世代の評価に大きな影響を与えてしまいました。

直線だけの競馬でこの後世界を席巻するファンタスティックライトを完封したこのレースも間違いなく強いレースでしょう。
ここをベストレースと見る人もいますね。


ジャパンカップに出走することすらできなかったナリタトップロードは翌週のステイヤーズSに出走。

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1.3倍の人気を集めたものの、ここを4着と完敗。
この負けでついに渡辺薫彦騎手は鞍上から降ろされ、ナリタトップロードは的場騎手に乗り替わって有馬記念へ向かうことになります。
ちょうどネットでナリタトップロード人気に火がついていたころでしたかね。

第45回有馬記念

2000年12月24日中山芝2500m 晴 良

年間全勝での重賞8連勝、そして古馬中長距離GI5連勝の大偉業がかかった有馬記念
オペラオーはここも単勝1倍台で1番人気です。次いでメイショウドトウ

2枠4番ナリタトップロード(3人気)
4枠7番テイエムオペラオー(1人気)
7枠13番メイショウドトウ(2人気)

人気は完全にいつもの3頭であり、テイエムオペラオーの偉業達成なるか?
ここが最大唯一の焦点となったレースでしたが、ことは簡単には運びませんでした。

いいスタートを切って、そのままいつも通りに前めにつけたいオペラオーですが、最初のコーナーで接触され和田騎手が立ち上がるほどの不利を受けてしまいます。

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↑和田騎手が立ち上がっている

不利を受けたオペラオーは後退し、馬群の後方まで下げられます。
そこをすぐにオペラオーの外を固めて動けないように騎乗しているアドマイヤボス武豊。(さすがにうまい)
テイエムオペラオーはあっという間に包囲されてしまいました。

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スタート直後のこのレースぶりに、1週めのホームストレッチに入ったところで観客からも怒声があがっていますね。
動画の音声をよく聞いてみるといいかも。「ふざけんな~!」など。

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後方にいるオペラオーをマークしてペースが遅くなったため馬群が一団となり後方から上がる進路がありません。
アウトコース武豊がオペラオーの外に張り付いており持ち出すことができない状態です。

第3コーナーに入って、ナリタトップロードが先団を追いかけていくなど前が動き出してきますが、オペラオーにはまだ進路がありません。さすがにざわつき始める観客。

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最終コーナーを回っても、オペラオーは前に進路をとれず、
実況の堺アナウンサーが残り310メートルしかありません!と叫んだ時にはオペラオーはまだ馬群の中にいました。

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さすがにこれは厳しいんじゃないか…?という雰囲気が漂っていました。


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ゴール前になって馬群を割ってきたオペラオー。生で見ていたらどこから出てきたのか全く分からない。
そのまま突き抜けるように見えましたが、メイショウドトウがもう一度伸びてくる。この馬もただでは負けない。
オペラオーがハナ差前に出たところがゴール。歴史に残る偉業が達成された瞬間でした。

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↑馬群に頭を突っ込んでいる瞬間
後退していくナリタトップロードと前に伸びていくメイショウドトウという形で隙間ができたのでその間を抜けてきていますね。


不利を受けても問題なく競馬ができ、並んで抜かせない。
大差をつけるわけではなく、丈夫で冷静にレースができてただただタフで強い。この地味な強さ。

気性面に難があったりするとそれはそれで個性として人気になったりもしますがオペラオーはそういうことがないですし。
適正や気性に問題がある馬だったら強くてもどこかは落としますからね。
こういう地味な強さも、重ねて勝ち続ければやっぱり惚れ惚れするような強さだと思います。

それに相手が弱い問題も、1強時代を作った馬はほぼそう言われるんですよ。
三冠馬が最初に言われるのはいつも「相手が弱い世代だった」ですよ。
相対的に弱く見えるだけにすぎないんですよ、
三冠馬に負けた馬が別の世代だったら全く通用しなかったかどうかなんてことは分からないんです。
メイショウドトウが上の世代とは勝負にならない程度でしかないなんてことは決まっていない。
メイショウドトウも地味な馬だったからそう見えているだけなんでしょう。

ましてやどこぞの炎上?Pではないですが、遠く離れた世代の比較なんてできないもんです。
強い馬っていうのは勝った馬のことであって、空想の中に思い描いた真の強い馬の姿で決まるもんではないと思います。


どうだったでしょうか?やっぱりオペラオーは大したことなかったんでしょうか?
そんなことはないと思いますが、判断は個人に任せます。
さて、これでオペラオーの話が終わったわけではないので、
オペラオー最後の1年、そしてオペラオーたちが去った後に、1頭だけ残ったあの馬の戦い、
引退した後のオペラオーたちの動向、最後に「現在までの和田竜二渡辺薫彦」と、やる気が残っていればまだまだ続く予定です。

テイエムオペラオーは本当に大したことなかったのか?②

テイエムオペラオーは本当に大したことなかったのか?
今回は3歳(当時表記4歳)クラシックの戦いぶりを振り返って検証してみます。

第59回皐月賞

1999年4月18日中山芝2000m 雨 良

クラシック三冠第1戦、皐月賞です。

1番人気に前走敗れはしたもののその能力を高く評価されているアドマイヤベガ
しかし中間の体調不良もあって馬体重を-12kgと大きく減らしていました。それでも1番人気。
続く2番人気にそのアドマイヤベガを破ったナリタトップロード
テイエムオペラオーはこの時はまだ5番人気でした。

1枠2番 アドマイヤベガ
4枠8番 ナリタトップロード
6枠12番 テイエムオペラオー

レースはナリタトップロードが中団、アドマイヤベガはその後ろ、
テイエムオペラオーはさらにその後ろから競馬を進めるという形になりました。
オペラオーはここまで全て先行策で来ているので、これは思わぬ展開です。

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しかし直線に入ると伸びを欠くアドマイヤベガ
先に動いたオースミブライトを捉えようと懸命に追うナリタトップロードを尻目に
大外から物凄い末脚で追い込んできた馬が1頭。テイエムオペラオーです。
テイエムオペラオーオースミブライトをクビ差で差し切ってまず1冠。
ナリタトップロードは3着、アドマイヤベガは6着。

このレースの見どころは何といってもオペラオーの末脚でしょう。
基本的に前めにつけることの多い馬でしたが、こういう脚を使うこともできる馬なんだと思いますね。
オペラオーの印象に残ったレースにこのレースをあげる人もいる強烈な印象を残したレースだと思います。
「凄い追い込み」みたいなのも人気が出る要素の一つではあるので、オペラオーはここぐらいしかなかったのも地味な理由なんですかね。でもここは凄い脚でしたよ。

第66回東京優駿日本ダービー

1999年6月6日東京芝2400m 晴 良

皐月賞を勝って一躍クラシック戦線の主役に躍り出たテイエムオペラオー
逆転を期すアドマイヤベガナリタトップロードの3頭が差のない人気トップ3となり三強対決の様相を呈していました。

皐月賞で大きく馬体を減らしていたアドマイヤベガでしたが、ここでは+10kgと完全に馬体を戻し万全の状態。
ダービーは和田・渡辺の若手騎手と、トップジョッキー世界の武豊との戦いにもなりました。

1枠2番アドマイヤベガ武豊
6枠11番ナリタトップロード渡辺薫彦
7枠14番テイエムオペラオー和田竜二

今回は皐月賞とは異なり、テイエムオペラオーが中団。
ナリタトップロードはオペラオーをマークするようにそのすぐ後方から競馬を進めました。
アドマイヤベガは後方待機で、追い込みに賭けます。

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前3頭が後続を離していたこともあり、早めに動いていったのがテイエムオペラオー和田竜二でした。
オペラオーは直線入って抜け出し先頭に立ちましたが、結果的には仕掛けが早すぎました。
オペラオーを見ながらレースを進めていたナリタトップロード渡辺薫彦
皐月賞ではオースミブライトを捉えきれませんでしたが、今回は完璧にオペラオーを差し切ってダービー制覇か…
と思われましたがその外にもう1頭、アドマイヤベガ武豊

前年にスペシャルウィークでダービーを勝てないという呪縛から解き放たれダービージョッキーとなった武豊
前を行くライバル2頭を見ながら冷静に仕掛けるタイミングを計り、史上初のダービー連覇となりました。

三強と呼ばれる馬が他馬を離してワンツースリーで決着したダービーで、
これもダービー史に残る名勝負の一つだと思いますね。
しかし、こうなるとどうしても言われ始めるのが騎手の差で、このあたりから言われることが増えてた気がします。

秋~最後の1冠へ

最後の1冠に向けて、オペラオーが秋の始動戦に選んだのは古馬混合G2の京都大賞典
この翌年から菊花賞の施行時期が天皇賞より前になったため今ではここをステップに菊花賞へ向かう馬はいなくなりましたが
それ以前はここをステップにする馬もいました。前年のセイウンスカイもそうです。

このレースにはスペシャルウィークメジロブライトといった歴戦の古馬が出走しており、オペラオーは3番人気でした。
断然の一番人気はもちろんスペシャルウィーク

7枠7番スペシャルウィーク
8枠10番テイエムオペラオー

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…でしたが、スペシャルウィークがまさかの凡走で7着と大敗。
スペシャルウィークをマークしてレースを進めていたオペラオーはスペシャルウィークが全く伸びなかったため仕掛けが遅れ、
馬群を抜け出すのにも手間取ってしまったためツルマルツヨシに届かずの3着敗戦。

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この頭数で、ここしかないというところに包まれているオペラオー…
ここから減速して内に方向転換して、そこも開かなかったのでもう一度外に向きを変えてようやく伸びてくるというレースぶり。
スムーズに進めて力を出し切れていれば…と思わせる惜しいレースでしたね。


さて、一方のアドマイヤベガナリタトップロードの秋初戦は京都新聞杯
こちらも翌年から菊花賞の日程変更に伴ってダービーのステップレースに変更されたため、
菊花賞のステップレースとしての開催はこの年が最後。前年の優勝馬スペシャルウィーク

ダービーの1着2着馬がともに出走しているとあってもちろん人気はこの2頭。
僅差で1番人気に支持されたのはナリタトップロードのほうでした。

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大外に持ち出したアドマイヤベガが自慢の豪脚を発揮してナリタトップロードを差し切っての勝利。
ナリタトップロードはライバルのオペラオーとアドマイヤベガ相手に3連敗を喫してしまいました。

第60回菊花賞

1999年11月7日京都芝3000 晴 良

このレースも人気を分け合うのは3強でした。
前走快勝のアドマイヤベガが1番人気、続いてオペラオーが2番人気。
3つ目のタイトルを絶対に取りたいナリタトップロードは3番人気の評価。
4番人気のラスカルスズカ単勝オッズは大きく離れた21.5倍であり、この3頭が抜けた評価をされているのが分かります。

1枠1番ナリタトップロード
3枠4番テイエムオペラオー
8枠14番アドマイヤベガ

1番枠から発走してスムーズに先団につけたナリタトップロードに対し、
オペラオーとアドマイヤベガは馬群の後ろから2頭並んでレースを進めています。
渡辺騎手はライバルの位置を確認しながらレースをしてる様子がうかがえますね。

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そしてナリタトップロードは得意のロングスパートで先頭に立ち、押し切ってしまいたいところですが、
最後にラスカルスズカ、そしてテイエムオペラオーが猛然と追い込んできます。
勢いは完全にオペラオーでしたが、ゴール板を先に通過したのはナリタトップロード
渡辺騎手、沖調教師ともにG1初勝利となりました。
杉本アナウンサーの渡辺やった~の実況のとおり、悲願のGI制覇という感じでしたね。

アドマイヤベガは距離に問題があったか伸びず6着。
この年の三冠レースは三強がタイトルを1つずつ分け合う結果に終わりました。


クラシック三冠レースが終わったら、あとは古馬との対決になるわけで、
次のレースは有馬記念か、来年の天皇賞を目指して休養するのか、となるところですが、
オペラオーの次のレースはステイヤーズステークスでした。なんで?

騎手のためなのか、馬のためなのか、とにかく勝ちを拾いに来たような他に目立った強豪のいないこのレース。
テイエムオペラオー単勝1.1倍という断然の人気に推されます。

当然勝つだろうと思われたレースでしたが、同世代のペインテドブラックに内をすくわれまさかの敗戦。
いくら2キロの斤量差があると言っても、ペインテドブラックはダービーも菊花賞も7着。
勝ちに来たのに負けてしまったのでいろんな意味で痛い。
結局、続けて有馬記念に出走。ステイヤーズSからという厳しいローテになってしまっています。

第44回有馬記念

1999年12月26日中山芝2500m 晴 良

この年の有馬記念スペシャルウィークグラスワンダーの最後の対決が注目されていたレースです。
人気を分け合うグラスワンダースペシャルウィークに3番人気のメジロブライトが続く古馬勢。
4歳世代からはナリタトップロードも出走しており、5番人気のテイエムオペラオーを上回る4番人気に支持されています。

1枠1番ナリタトップロード
2枠3番スペシャルウィーク
4枠7番グラスワンダー
6枠11番テイエムオペラオー

先行するトップロードとオペラオー、一方のグラスワンダーは後方からで、さらにスペシャルウィークは最後方。
第3コーナーからグラスとスペシャルが動き、一気にまくって先団にとりつきます。

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直線、グラスをとらえ一瞬前に出て見せ場を作ったオペラオーでしたが、
ゴール直前に上がってきたスペシャルウィークとともにグラスワンダーにも差し返されてクビ差の3着に敗れました。
トップロードは見せ場のない7着。


とにかくスペシャルウィークグラスワンダーが注目されたレースでしたが、
オペラオーもタイム差なしの3着まで食い込んで強さを見せているのも重要なポイントでしょう。
京都大賞典で敗れたツルマルツヨシメジロブライトにも先着しています。

このレースに負けたからグラスペより格下みたいに言われるのも不服というか、実際にはスペにもグラスにも1勝1敗なんですよ。
スペシャルウィークの負けは調整失敗のせい、テイエムオペラオーの負けは実力の差、
そういう都合のいい解釈をするから評価がおかしくなっている
んですよ。
テイエムオペラオー菊花賞ステイヤーズS有馬記念とかいうありえないクソローテですし。
菊花賞が現在より後ろなのでレース間隔も狭い)
つくづくステイヤーズSが余計でしたね~。

また、決して好騎乗とは言えないレースが続いてるのも確か。
今でこそ俺たちの和田竜二とか言ってますが、当時はヤネを変えてくれ!ってずっと思ってました。
これはオペラオーの引退まで思ってましたね実際のところ。


この年の最優秀4歳牡馬はテイエムオペラオーが受賞。
グラスペに迫って飛躍を期待させたオペラオーは翌年から快進撃が始まり、
一方のナリタトップロードにとっては苦難の始まりとなる有馬記念でした。

世紀末到来編に続きます

あの頃、テイエムオペラオーはナメられていたよねという話①

いきなりですが、「ラッキー珍馬」というネット用語があります。
昔から競馬をやっているネットユーザーには有名な言葉なのですが、
これは「ラッキーだけで実力に相応しくないぐらい勝った馬」という意味で、
もともとテイエムオペラオーのことを指す言葉だったんです。


要するに、テイエムオペラオーがあれだけ勝てたのは運がよかったからだ、という意味の言葉です。
ウマ娘でオペラオーを知った人には全く意味不明に映るかもしれませんが、
いつも2着がメイショウドトウだった、つまり他に強い馬がいないから勝ったのであって
相手に恵まれただけにすぎないというのがそう主張する人の主な根拠なんですね。


じゃあその風潮が捻くれもののネット民だけのものだったかというと、そうでもない。
一番大きかったのは1つ上の世代、つまりスペシャルウィーク世代の強さと華々しさが大きく取り沙汰されていたことにあります。その最強世代が去った後に覇権を握ったオペラオー。もちろん下の世代のこともありますが、上の世代にファンが非常に多かった。
あの世代と比べたら大したことがない、現実でもこんな感じの風潮がありました。
スペシャルウィークの方がずっと強いよね、とか言ってる競馬評論家もいたんですよ。井〇とか。


しかし時代は変わっていくもの。その時々の最強馬がゆるいローテで自分の得意条件でしか走らないようになってきて漸くわかること。
距離・条件を問わずに人気を背負ってレースに出続け、勝ち続けることはどれだけ強い馬でも難しい。

ウマ娘で新しくオペラオーを知った、先入観のない人にはどう見えているのだろう。
やっぱり偉大な名馬なんじゃないだろうか?


実績に比して人気がなかったテイエムオペラオー。(でも馬券は売れて普通に1番人気になっていた)
オルフェーヴルが出てくるまで、テイエムオペラオーが一番の馬なんだと強く信じていた私ですから、きっかけが何であれ、好きになってくれる人が増えるのは嬉しいこと。
(最初にウマ娘のビジュアルが発表されたときにはオペラオーのキャラ作りに不服なところありましたけどね)


さて、先日、ヴィレヴァンのニュースサイト?にてオペラオーの記事が上がってました。
ざっと概要を掴むぶんには確かに分かる、分かるけども…!
熱狂的オペラオーファンの自分にとってはもうちょっと物足りない!という感情がどうしても出てしまうんですよ。
あの内容だとニコ百とかwikipediaとか読むだけでも十分って気がしますし。


とにかく物足りなさを感じてしまったので、自分で紹介していくことにします。テイエムオペラオーとかそのへんのことを。
テイエムオペラオーは本当にそんなになめられるような馬だったのか?大したことなかったのか?
20年近くが過ぎた今、改めて振り返りつつ検証していきたいと思います。


基本的に、過度に物語性を持たせたり、知られざるエピソードみたいなもので語ったりするのではなく、事実ベースのみ(+個人的な感情)で大きな流れを見ていきたいと思います。
なので当時を知ってる人には別に新しい事実とかはないですよ。

あと競馬を過度に競技として美化することもしません。
レース映像から読み取れるテイエムオペラオー妨害の一手、とかは忖度なしに紹介していきますが。(根に持つのでw)


テイエムオペラオー・血統について

父オペラハウス、母の父ブラッシンググルームという血統のテイエムオペラオー
オペラハウスは欧州の名馬であり、その父は大種牡馬サドラーズウェルズ
サドラーズウェルズ系は現在においても欧州における主流血統の一つとなっています。
ブラッシンググルームも欧米で大成功した種牡馬で、ナスルーラレッドゴッド系の拡大に大きく寄与した名種牡馬です。

こうしてみるといい血統のようにも見える…のですが、
このサドラーズウェルズ系、日本ではほとんど実績が残せていない血統なんですね。

ここに2020年度の日本における系統別種付け数(ソースはジャパンスタッドブック)を集計したものがありまして。(集計したのは私です)

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サドラーズウェルズの父はノーザンダンサーノーザンダンサー系は世界の最大血統で、現在の世界シェアでは50%近くを占めています。しかし日本国内ではその父ニアークティックからの系統を含めても20%強のシェアしかありません。

そのニアークティックノーザンダンサー系をさらに細かく分類したのが下の表です。

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欧州における大流行血統であるサドラーズウェルズ系は、日本ではわずか2.74%のシェアしかないんですね。
テイエムオペラオーメイショウサムソンという名馬が出た後の時代の今でもこうなので、産駒デビュー前のオペラハウスの期待度はまあ知れたものというわけです。


母は未出走馬、生まれも浦賀のさほど大きくない杵臼牧場。
セリ市で競りかけてくるものもおらず、1050万という安価で落札されました。
管理調教師の岩元調教師も名調教師と呼ばれるほどではなく、鞍上は実績のない若手騎手、和田竜二
ここからの逆襲劇はもっと日本人好みのストーリーとして人気が出てもいいと思ってましたが、
20世紀末にはもうそういう判官びいきで人気が出る時代は終わってたってことなんでしょうねえ…


デビュー~東上最終便で皐月賞

さて、それでは実際のレースのほうを見ていきます。
骨折によって3歳(※当時の年齢表記、現在の2歳)のほとんどを棒に振ったオペラオーですが、
デビュー3戦目の未勝利戦を勝ち、続く4戦目ゆきやなぎ賞(500万下条件戦、現在の1勝クラス)で連勝。

皐月賞前の関西の最後の重賞で「東上最終便」と呼ばれるG3レース、毎日杯へと駒を進めました。

【競馬】 1999年 毎日杯 テイエムオペラオー - ニコニコ動画

テイエムオペラオーは1枠1番。

前目につけて残り200メートルで先頭、あとは差をつけるだけ。4馬身の差をつけての重賞初勝利。大器の片鱗をのぞかせる完勝です。
オペラオーが2着につけた着差としては重賞では最大の着差なんですよね。(ステイゴールド失格の京都大賞典を除く)
こういう派手な着差をつけて勝つレースがもっとあれば人気も出たのかもしれません。地味な勝ちが多いのも人気がなかった理由だとは思いますが、過小評価する理由にはなりません。


この毎日杯、東上最終便とは言われていますが皐月賞まで中2週と間隔が狭いため皐月賞ではなくダービーへ向かう馬も多いレースです。
今年のダービー馬、シャフリヤールも毎日杯からダービーへ向かっていますね。オペラオーもダービーへ向かうローテも考えられていたようですが、最終的には皐月賞に向かうことに。

しかし一つ問題があり、デビュー後に故障して勝ち上がりの遅れたオペラオーはクラシック登録をしていなかったのです。
「シンデレラグレイ」でオグリキャップに立ち塞がったこのシステムですが、その後ルールが変更され追加登録料をおさめることで後から登録することが可能になりました。
オペラオーはこのルールで追加登録して勝利した最初の馬であり、シングレでオペラオーの後ろ姿が描写されているのはそういう理由でもあります。
(他にもキタサンブラックも追加登録からクラシックを勝利した馬です。)

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ウマ娘シンデラグレイより)

ちなみにこの追加登録料は200万円なのですがこれは1レースあたりであるため、三冠レース全てに登録する場合は合計600万を払う必要があります。
オペラオーもキタサンブラックも登録だけで600万払っていることになりますね。



さて、ここでこの年のクラシック戦線に目を向けてみたいと思います。
朝日杯3歳ステークスを勝ち、3歳チャンピオンに輝いたアドマイヤコジーンが骨折によって戦線離脱。

代わって主役と言える立場となっていたのが暮れのラジオたんぱ杯3歳S(G3)(※現在のホープフルステークス)を勝った、アヤベさんことアドマイヤベガでしょう。

輝く一等星 アドマイヤベガ

二冠牝馬ベガを母に持ち、父は日本競馬の歴史を塗り替えたと言っても過言ではない名種牡馬サンデーサイレンス
生まれは日本競馬界の覇者ノーザンファームでついでに鞍上は世界の武豊
まさに超一流の中の超一流
また、アドマイヤベガは双子でしたが片方は生まれる前に処分されてしまっているというエピソードもあります。この話はウマ娘アドマイヤベガにも活かされていますね。
ちなみにアヤベさんという呼び方は当然ながらウマ娘オリジナルの呼称なので他ではまったく通じません。注意しましょう。


当然デビューから3戦全て1番人気であり、この年の主役と言ったらこの馬になるだろうと思わせるほどの馬です。
そんなアドマイヤベガの4歳初戦は皐月賞トライアルの弥生賞
このレースも単勝1.5倍の1番人気でしたが、そこに立ちはだかったのがこの年のもう1頭の主役、ナリタトップロードです。

最も愛されたイケメンホース ナリタトップロード

最初のほうでオペラオーは人気がなかったと言いましたが、
じゃあ誰が人気だったのかというとそれはもう間違いなくナリタトップロードでしょう。

輝く栗毛の馬体に大流星の抜群のイケメンホース。
父は内国産種牡馬の星サッカーボーイ
コンビを組む渡辺薫彦騎手はこちらも実績の浅い若手の騎手でしたが、非常に人気のあるコンビでした。
ナリタトップロードでのきさらぎ賞勝ちが渡辺騎手にとって初の重賞勝ちになっています。

残念ながらウマ娘では影も形もありませんが、
オペラオーと最も長く戦い続けた馬であるナリタトップロードなしにオペラオーは語れません。
オペラオーの育成ストーリーにこの馬がいないことを惜しんでいる人が多いのはそういうことです。


この年、トップロードはきさらぎ賞(G3)を勝ち、クラシックを目指すべく弥生賞に出走。
1番人気はアドマイヤベガに譲り、ここでは単勝4.0倍の2番人気でした。


4枠6番アドマイヤベガ
7枠12番ナリタトップロード

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後方からの追込みに賭けたアドマイヤベガに対し、トップロードは早めに仕掛け、4角2番手まで押し上げています。
外から最速の上がりでようやく追い込んできたアドマイヤベガでしたが、時すでに遅し。
抜け出したナリタトップロードを捉えられず、ナリタトップロードの重賞2連勝となりました。

このレースは渡辺騎手の仕掛けのタイミングが抜群でしたね。
アドマイヤベガも負けてなお強しという印象で、皐月賞でも本命と見られていたのはやはりこの2頭。テイエムオペラオーはまだ毎日杯を勝ったばかりの伏兵馬でありました。


クラシック三冠編に続きます。